野次馬エンジニア道

野次馬な気持ちでプログラミングをあれこれと綴ります

ビジネス関連の読書メモ (2) - ITビジネス・統計学

ビジネス書籍をまた読んでみた。

3冊目。ITビジネスの原理

インターネットがビジネスをどのように変えたかを出発点に著者の経験からITビジネスの仕組みを説明。

ITビジネスの原理

ITビジネスの原理

TAC(Traffic Acquistion Cost)という財務指標

尾原和啓 「ITビジネスの原理」P35より 

インターネットビジネスにおいてはいかにこのTACをゼロに近づけるのかというのが大きな課題。できるだけTACをゼロに近づけるというのは、ユーザの方から勝手に集まってくるようにできるかということになります。

課金にかかるコストの考え方

尾原和啓 「ITビジネスの原理」P55より 

情報そのもののコスト、その情報を探すための探索コスト、情報を手にいれるために必要なコスト。この三つを合わせたものが、価格に見合うかどうか。

など、実際にビジネスに関わる人には自明なのだろうが、よく整理されている印象を受ける。

面白いのは5章以降の内容。日本の文化的な背景をおりまぜつつ、アメリカ的なビジネスを「ローコンテキスト」として対比させる形で、

尾原和啓 「ITビジネスの原理」P168より 

つまり、ダイソーでは品物そのものだけでなく、店の空間全体、個々の品物が背景に持つ物語、それを買った自分の物語、それらを全部ひっくるめて売っているということです。これはハイコンテクストな考え方であり、ビジネスのやり方です。 ショッピングが楽しいのはそういうプロセスで、(中略)、そしてそれがインターネットにおいて単純な価格勝負の競争に陥ってしまうことから救ってくれるのではないかと思うのです。

としている。最後にGoogleグラスに対して、ここまでに説明したコストやコンテキストを用いて著者なりの分析が行われていて現状と今後を考える上で参考になる一冊。

4冊目。統計学が最強の学問である[実践編]

統計学が最強の学問である[実践編]---データ分析のための思想と方法

統計学が最強の学問である[実践編]---データ分析のための思想と方法

前著が幅広い読者層に対して統計学へ関心を持ってもらうための「入門の入門」の内容だったのに対して、本著は一般的な入門書の

西内啓 「統計学が最強の学問である[実践編]」P4より 

  • 数式が出てくると読む手が止まる
  • しかしツールをいきなり触っても何を意味しているかわからない
  • それぞれの手法が自分の仕事にどう役立つのかわからない
  • 自分の仕事に必要な範囲がどこまでなのかがわからない

を解決するべく、わかりやすい語り口でより個々の分析手法と背景にある考え方を説明したちょっと変わった教科書といった感想。

文に登場する数式や証明は巻末に全て移動されているが、説明の流れは一般的な教科書の順番とさほど変わりはなく、平均と標準偏差から統計的仮説検定の考え方、検定の多重性に触れた後に、重回帰分析と説明変数の選択方法、ロジスティック回帰と対数オッズ比の説明と続く。

西内啓 「統計学が最強の学問である[実践編]」P266より 

回帰係数の値だけでは説明変数の重要性を判断することはできない。それだけでなく「どのくらい説明変数を動かせる余地があり、また実際に変数を動かせる打ち手があるのか」を考慮しなければならないのだ

のように回帰モデルの分析時の注意点にかなりページを割いて説明しているのが特徴的。さらに因子分析やクラスター分析を用いて縮約された結果から説明変数を作り、重回帰分析やロジスティック回帰を併用することも薦めている。

最後に回帰の分析結果から得られたアイデアを元に、ランダム化比較実験かA/Bテストを用いて効果の検証を行うことを一連の手順としている。効果検証のための検出力やサンプルサイズの解説もあり実用性の高い解説が多い。

他に印象に残ったのは

西内啓 「統計学が最強の学問である[実践編]」P211より 

z検定やt検定で用いる「平均の差の標準誤差」と、二値の説明変数に対する単回帰分析で用いる「回帰係数の標準誤差」は全く等しい。

何気なく学んだことにも別の角度から理解が得られる可能性もあるような本だった。